クラウドPBXは、スマートフォンやPCで会社の電話を利用したり、複数拠点の電話環境をまとめたりできる便利な仕組みです。
一方で、導入を検討する企業担当者の中には、
「クラウド上で電話を利用しても安全なの?」
「通話内容が外部に漏れることはない?」
「不正アクセスによる被害が心配」
「社員のスマートフォンで会社の電話を使っても大丈夫?」
といった不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
企業の電話では、顧客の氏名や連絡先、取引内容など、さまざまな情報がやり取りされます。
そのため、クラウドPBXの導入では、電話機能や料金だけでなく、セキュリティ対策や運用管理の仕組みを確認することが重要です。
今回は、クラウドPBXを安全に利用するために、企業が確認しておきたい7つのポイントを解説します。
クラウドPBXにセキュリティ対策が必要な理由
クラウドPBXは、従来オフィス内に設置していたPBX(電話交換機)の機能を、クラウド上で利用する仕組みです。
サービスによっては、固定電話機だけでなく、スマートフォンやPCからも会社の電話番号を利用できます。
場所を問わず電話対応しやすくなる一方、インターネット接続や利用者アカウント、端末など、管理すべき対象も広がります。
例えば、アカウント情報が第三者に知られると、不正ログインや電話サービスの不正利用につながる可能性があります。
また、通話録音や文字起こしを利用する場合は、保存したデータへのアクセス権限や管理方法も重要になります。
クラウドPBXだから特別に危険というわけではありません。
ただし、従来の電話設備とは異なる点を理解し、適切なセキュリティ対策を行う必要があります。
関連記事:クラウドPBXはどう比較する?導入前に確認したい7つの選定ポイント
ポイント1|アカウントの不正利用を防ぐ

クラウドPBXでは、社員ごとにアカウントを発行して利用するサービスがあります。
そのため、IDやパスワードの管理は基本的なセキュリティ対策の一つです。
例えば、
- 複数の社員で同じアカウントを共有している
- 簡単なパスワードを設定している
- 退職した社員のアカウントが残っている
- 管理者アカウントを必要以上に発行している
といった状態は、セキュリティリスクにつながります。
対策:認証方法とアカウント管理を確認する
導入するサービスについて、多要素認証(MFA)やシングルサインオン(SSO)に対応しているか確認しましょう。
また、管理者アカウントと一般利用者の権限を分け、必要な社員だけが管理機能を利用できるようにすることも重要です。
入社、異動、退職の際に、アカウントを追加・変更・削除するルールも決めておきましょう。
特に退職者のアカウント削除は、退職時の手続きに組み込んでおくと管理漏れを防ぎやすくなります。
ポイント2|通話データが適切に保護されているか
会社の電話では、顧客情報や取引に関する内容が会話に含まれることがあります。
そのため、通信内容が第三者に不正に取得されないようにする対策が必要です。
クラウドPBXのサービスによっては、通話の制御情報や音声データを暗号化して保護する仕組みを利用できます。
ただし、すべてのサービスで同じ暗号化方式が採用されているわけではありません。
対策:通信の暗号化について確認する
導入前には、
- 通話の音声データが暗号化されるか
- 通話制御に関する通信が保護されるか
- 利用する端末やアプリが暗号化に対応しているか
- 録音データの保存時にも適切な保護が行われるか
などを確認しましょう。
「クラウドだから安全」「暗号化対応と書いてあるから安心」と判断するのではなく、自社が利用する構成で、どの範囲まで保護されるのかを確認することが大切です。

ポイント3|スマートフォンの紛失・盗難に備える
クラウドPBXのメリットの一つが、スマートフォンを会社の電話端末として利用できることです。
しかし、社員がスマートフォンを社外へ持ち出す場合、紛失や盗難のリスクも考える必要があります。
特に私物のスマートフォンを業務に利用する場合は、会社の情報と個人の情報をどのように管理するかが課題になります。

対策:端末管理のルールを決める
スマートフォンでクラウドPBXを利用する場合は、
- 端末の画面ロック
- OSやアプリのアップデート
- 紛失時の連絡手順
- アカウントの利用停止方法
- 会社支給端末と私物端末の取り扱い
などを確認しましょう。
必要に応じて、MDM(モバイル端末管理)の導入を検討する方法もあります。
また、紛失したスマートフォンから電話サービスにアクセスできないよう、管理者が速やかにアカウントを停止できるかも重要です。
関連記事:会社の電話番号はそのままでOK!スマホで会社番号を使うメリットと活用方法
ポイント4|通話録音やAI文字起こしの情報を守る

最近では、通話録音だけでなく、AIによる文字起こしや要約に対応した電話サービスも登場しています。
こうした機能を利用すると、これまで音声だけだった会話が、検索や共有しやすいデータとして残るようになります。
これは業務効率化につながる一方、情報管理の面では注意が必要です。
例えば、
「録音データを誰でも閲覧できる」
「過去の通話履歴が必要以上に保存されている」
「顧客情報を含む要約が社内で広く共有されている」
といった状態は避けたいところです。
対策:保存期間とアクセス権限を設定する
通話データを保存する場合は、
- 録音・文字起こしの利用目的
- データの保存場所
- 保存期間
- 閲覧・ダウンロードできる社員
- 削除方法
- 外部サービスへのデータ提供条件
などを確認しましょう。
顧客情報を含むデータについては、必要な担当者だけがアクセスできるようにすることが大切です。
また、AIによる文字起こしや要約では、個人情報の取り扱いやAI処理に関する契約条件も確認しておきましょう。
関連記事:クラウドPBX×AIで電話対応はどう変わる?文字起こし・要約・情報共有の活用方法
ポイント5|不正発信や電話サービスの悪用を防ぐ

クラウドPBXでは、第三者によるアカウントの不正利用が発生すると、意図しない電話発信などにつながる可能性があります。
不正発信によって高額な通話料金が発生するケースも想定されるため、発信に関する管理も重要です。
対策:発信制限や利用履歴の確認
サービスによっては、発信可能な番号や国・地域を制限できる場合があります。
海外への発信など、業務で利用しない機能がある場合は、必要に応じて制限を検討しましょう。
また、
- 不審な発信履歴がないか
- 通常より通話料金が増えていないか
- 利用していないアカウントが残っていないか
- 管理者の操作履歴を確認できるか
などもチェックポイントです。
不正利用を完全に防ぐことは難しくても、利用状況を確認できる仕組みを整えておくことで、異常の早期発見につながります。
ポイント6|サービス障害やネットワーク障害に備える

セキュリティ対策では、不正アクセスや情報漏えいだけでなく、電話サービスを継続して利用できることも重要です。
クラウドPBXでは、サービス側の障害やインターネット回線のトラブルによって、電話が利用できなくなる可能性があります。
また、災害や停電などの影響も考えておく必要があります。
対策:障害時の連絡方法を準備する
クラウドPBX導入前には、
- サービスの障害対応体制
- 障害情報の確認方法
- 問い合わせ窓口
- 代替回線や代替連絡手段
- 復旧後の確認方法
などを整理しておきましょう。
例えば、インターネット回線が利用できなくなった場合、別の通信手段で電話対応を継続できるかどうかを確認します。
ただし、代替回線やスマートフォン回線があっても、クラウドPBXサービス自体の障害には対応できない場合があります。
そのため、異なる連絡手段を確保するなど、障害の原因に応じた対策を考えることが大切です。
関連記事:クラウドPBX導入で失敗しないためには?よくある7つの失敗例と対策を解説
ポイント7|サービス提供事業者の管理・サポート体制を確認する
クラウドPBXでは、システムの一部をサービス提供事業者が管理します。
そのため、導入企業側の対策だけでなく、サービス提供事業者の管理体制も重要になります。
例えば、
- セキュリティに関する取り組み
- データの管理方法
- 障害時の対応体制
- セキュリティ更新の方法
- 問い合わせ窓口
- 契約終了時のデータの取り扱い
などを確認しましょう。
情報セキュリティに関する第三者認証の取得状況も、事業者を比較する際の参考になります。
ただし、認証を取得しているという理由だけで、自社に必要な対策がすべて整っていると判断することはできません。
重要なのは、自社が必要とするセキュリティ要件に対応しているかという点です。
クラウドPBXのセキュリティは誰が管理する?
クラウドPBXでは、サービス提供事業者と利用企業が、それぞれ役割を分担してセキュリティ対策を行います。
例えば、クラウド基盤やサービスの保守は提供事業者が担当することが多い一方、社員のアカウントや利用端末、社内の運用ルールなどは利用企業側での管理が必要になります。
サービスによって責任範囲は異なりますが、一般的には次のように整理できます。
| 主な管理項目 | 確認・管理の中心 |
|---|---|
| クラウド基盤の保守 | サービス提供事業者 |
| サービス側のセキュリティ更新 | サービス提供事業者 |
| 社員のアカウント管理 | 利用企業 |
| スマートフォン・PCの管理 | 利用企業 |
| 通話録音の閲覧権限 | 契約・機能に応じて双方 |
| 障害発生時の対応 | 双方の連携 |
クラウドサービスを利用しているからといって、セキュリティ管理をすべて事業者へ任せられるわけではありません。
自社で対応すべき部分を明確にしておきましょう。
導入前に確認したいセキュリティチェックリスト
クラウドPBXを比較・導入するときは、次の項目を確認しておくと安心です。
□ 多要素認証などの認証機能があるか
□ 社員・管理者のアクセス権限を設定できるか
□ 通話データが適切に保護されるか
□ スマートフォンの紛失時に利用停止できるか
□ 録音・文字起こしデータの閲覧を制限できるか
□ データの保存期間や削除方法を確認できるか
□ 不正発信を防ぐための制限機能があるか
□ 利用履歴や管理者の操作履歴を確認できるか
□ 障害時の連絡方法を準備しているか
□ サービス提供事業者のサポート体制を確認したか
すべての項目が同じ重要度というわけではありません。
顧客情報を多く扱う企業、通話録音を利用する企業、スマートフォンを多数導入する企業など、それぞれの利用状況に合わせて優先順位を考えましょう。

まとめ|クラウドPBXはセキュリティも含めて選ぼう
クラウドPBXは、企業の電話環境を柔軟にする便利な仕組みです。
しかし、場所を問わず利用できるからこそ、アカウントや端末、通話データの管理が重要になります。
今回紹介した7つのポイントは、
- アカウント管理
- 通話データの保護
- スマートフォンの管理
- 録音・AIデータの管理
- 不正発信の防止
- 障害時の対応
- サービス提供事業者の管理体制
です。
クラウドPBXの導入では、使いやすさ・費用・機能だけでなく、安全に利用し続けられる仕組みも考えることが大切です。
自社の電話対応や情報管理の状況に合わせて、必要なセキュリティ対策を確認しましょう。
安全で使いやすい電話環境を検討しませんか?
クラウドPBXを導入したいけれど、
「セキュリティ面が心配」
「社員のスマートフォンを安全に利用したい」
「通話録音やAI機能を導入する際の注意点を知りたい」
「複数拠点の電話環境を適切に管理したい」
このようなお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
クラウドPBXの導入では、必要な機能だけでなく、運用管理やセキュリティ面も含めて検討することが重要です。
現在の電話環境や業務内容を確認しながら、自社に合ったクラウドPBXの構成をご提案します。
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執筆者:メディアマート株式会社 マーケティングチーム
クラウドPBX、セキュアブラウザ等のユニファイドコミュニケーションやネットワークセキュリティに関わる事業を約15年運営。業界の最新常識やトレンド情報を発信しています。
